2017年1月30日月曜日

買えたかも委員会

 生きるための糧とは何であろうか。












 一口馬主の豊穣とは・・・













 迷いあぐねた人々が、今日もその門を叩く。




 登場人物
 一口馬主クラブ代表:阿部由紀也
 ブロガー     :まつり崎
 一口馬主クラブ社員:M姐

 相談者:すいぞう(40) 一口馬主歴 4年


すいぞう「あれは・・・2015年の3月でした」

すいぞう「ちょうど僕はシルクホースクラブのこともネタにし始めた頃で・・・持っている馬も少なく、記事のネタも枯渇していた頃で・・・。そうだ、シルクの会報に紹介されているお店を、聖地巡礼と銘打ち訪問してみよう。そんな風に思ったのがきっかけでした」

阿部「・・・」
まつり崎「・・・(眠そうな目をしている)」
M姐「・・・(迫力のある目ですいぞうを凝視している)」

すいぞう「普段あまり行くことのない場所、赤坂。繁華街のイメージが強かったのですが、意外と落ち着いた街だと思いました」

すいぞう「そして・・・一ツ木通りでも赤坂の中心街からは少し離れた場所に、その店はありました」

すいぞう「大きな看板、杉玉・・・僕なんかが一人で入っていいものかとも思いましたが、ええいままよと、どうにかなるさと入店しました」

まつり崎「あ・・・」
すいぞう「??」
まつり崎「・・・話の腰を折ってすみません・・・、今でも、今でもその店はあるのですか?」
すいぞう「いえ・・・。先日に店の前を通りかかったところ・・・うなぎ屋になっていました・・・」
まつり崎「あ・・・(察し」
阿部「うなぎ屋・・・」
すいぞう「はい、うなぎ屋・・・」
全員「・・・・」

阿部「続けてください」

すいぞう「はい。・・・緊張しながらカウンター席につき、とりあえずビールを注文したのですが、お通しが来たところで思い出したのです。そうだ、今日はブログのネタを作りに来たんだ、と」

すいぞう「カバンからカメラを取り出し、シルクの会報が写るようにして、撮影をしました。もちろん大っぴらにはやりません。他のお客さんの迷惑にならないよう、こっそりと撮影しました。すると」

???「ちょっと、お客さん」

すいぞう「しまった、と思いました。やはり写真撮影NGの店だったんだ。お固い店だったんだ。どうしよう、叩き出される。僕は反射的に身を硬くし、恐る恐る、声の主を見上げました」

???「それ、シルクの会報ですよね。僕も実はシルクの会員なんですよ」
すいぞう「・・・!?」

すいぞう「そう、僕に声を掛けた店員さんは、シルクの会員さんだったのです。彼がビールとともに差し出した名刺には、立派な名前が書いてありました。ここで名前を出すのは控えますが、仮に店員Oさんとしましょうか。話は自然と、自分が今年度のシルクで何を持っているかという話になりました」

店員O「えー!アルジャンテが一緒じゃないですか!これは奇遇だ!嬉しいですね」


すいぞう「店員Oさんは人懐っこい笑顔でそう言ってくれました。考えてみれば最大で499人同じ馬を持っている人間がいるわけで、さほどの奇遇ではないのかもしれません。でも、僕はその時が初めてだったんです」
まつり崎「初めて・・・だったんですか」
すいぞう「はい・・・初めて、シルクで同じ馬を持っている人に会ったのです」
まつり崎「あ、そういうことですか(落胆」
すいぞう「え?」

阿部「続けてください」

すいぞう「・・・楽しくなって酒が進んでしまった僕は、調子に乗り、自分の馬にどれだけ期待しているかという話をしました。いわゆる親バカトークです。アルジャンテのことはもちろん、当時持っていたクィーンアマポーラ、タイムレスメロディ、レーヌドコロール、ジスターキのことを語りました。ひかり屋を訪れる前に、北海道見学したのが記憶にあったからかもしれません。桜花賞やオークスを争えばいいんですけどねえ、とか、半ば本気で語っていた記憶があります」
まつり崎「・・あ」
すいぞう「?」
まつり崎「話の腰を折ってしまい恐縮です。その馬たちは今・・・アルジャンテ以外の馬は・・・」
すいぞう「ほとんどが未勝利で引退しました」
まつり崎「あ・・・」
すいぞう「・・・・」

阿部「続けてください」

すいぞう「僕の話があらかた済んだあとで、店員Oさんが静かに話はじめました。恐らく客である僕が話し終えるのを待っていらっしゃったのでしょう」

すいぞう「Oさんは僕なんかより、遥かに競馬に精通された方でした。一口馬主歴こそ僕の方が一年ほど上でしたが、勉強熱心なことは会話の内容ですぐ分かりましたし、競馬界へのパイプもあるようでした」
まつり崎「パイプ・・・」
すいぞう「?」
まつり崎「いえ、松方弘樹さんを思い出してしまって・・・」
すいぞう「・・・・」

阿部「続けてください」

すいぞう「中でもOさんは矢作調教師を信奉しているようでした。シルクで最初の馬は矢作厩舎の馬にした、とも言っていました・・・そして、ここからが核心なのですが」

店員O「実は、今年は楽しみな馬がいるんですよ」
すいぞう「ほう。なんという馬ですか?」
店員O「グレンツェントという馬です」
すいぞう「グレンツェント・・・」

すいぞう「お恥ずかしいことに、僕がその名前を聞いて最初に思い浮かべたのは、阪神の外国人選手・グレンのことでした」
まつり崎「グレン・・・クールボーとかと同じ時期の・・・」
すいぞう「ええ。藤田平政権の。あ、話が脱線してしまいすみません」
まつり崎「ええんやで(ニッコリ」
すいぞう「・・・・」

阿部「続けてください」

すいぞう「グレンツェント・・・母馬は何でしたっけ」
店員O「ボシンシェです。ボシンシェの13」
すいぞう「ああ、分かります」


すいぞう「僕は正直まだピンと来なかったのですが、話を合わせました。」

店員O「実はね、この前の東スポにも取り上げられたんですよ」
すいぞう「ほう、東スポに・・・」
店員O「牧場でもかなりの評判のようですよ。正直、まだ売れ残っているのが不思議ですよ」
すいぞう「え、まだ売れ残っているんですか?」
店員O「そうですよ!まだ間に合います」

すいぞう「僕はひかり屋のカウンターでスマホを取り出し、その場で動画をチェックしました。その頃、動画の動きを見れば素質を見抜けると、自分を盲信していたのです」
まつり崎「・・・今は」
すいぞう「は?」
まつり崎「今は・・・何を見て決めているのですか?」
すいぞう「何も・・・何も見なくなりました」
まつり崎「・・・・」
すいぞう「何を見ても、大して変わらない・・・そのことに、気がついたのです」
まつり崎「・・・・」
すいぞう「・・・・」

阿部「続けてください」

すいぞう「ボシンシェの13の動画は、改めて見ると、何となく良さそうに見えました。そして、目の前に立つ店員Oさんの、自信のありそうな振る舞い、言動・・・。「梵」というお酒ですっかり酔っていた僕は、募集申し込みページに吸い込まれそうになりました・・・。そのまましばらく、忘我の境地でスマホとにらめっこしていたのかもしれません。そんな僕を正気に戻らせたのも、店員Oさんでした」
店員O「すいぞうさん、申し訳ない、そろそろ閉店のお時間で・・・」

すいぞう「そう、何だかんだで結構な時間になっていたのです。僕はシルク会員特別料金(ビール一杯無料)の勘定を済ませ、店を後にしました」

阿部「・・・」

すいぞう「翌日からは仕事も忙しく、ボシンシェの13はそれっきりになってしまいました。そして、ボシンシェの13、つまりグレンツェントはあれよあれよという間に出世していき・・・先日、東海SというG2を勝ちました。完勝でした」
阿部「見事な勝ち方でした」
M姐「(無言で頷く)」

すいぞう「・・・僕は今でも思うのです。あの時、閉店時間があと30分、いや、10分遅ければ、出資を申し込んでいたんじゃないかと・・・買えていたんじゃないかと・・・」

阿部「・・・・(無言で「買えた」の札を出す)」
まつり崎「・・・・(無言で「買えた」の札を出す)」
M姐「うーん・・・・(「買えたとはいえない」の札を出す)」

まつり崎「はい、それでは「買えた」の札が2つということで・・・すいぞうさん。グレンツェントを「買えた」と認定します」

阿部 「・・・買えたかもしれない夜を照らせるのは」
すいぞう「はい」
阿部「唯一買えたかもしれないという光だけ」
すいぞう「・・・・」
阿部「すいぞうさん。その光を大切にしてください」
すいぞう「・・・ありがとうございます」

M姐「・・・あ、一つだけ」
すいぞう「?」
M姐「気になったんですけど」
すいぞう「はあ・・・」
M姐「その店員Oさん?が最初に矢作調教師に預けた馬」
すいぞう「ああ・・・これはレーヌドブリエという馬です」
M姐「ふん」
すいぞう「これも中々の馬なんですよ。すでに3勝もし」
M姐「(遮るように)当時は未勝利だったんじゃないですか?」
すいぞう「・・・は、はい」
M姐「母はメジロドーベル。個人的つながりのある矢作調教師。完全にロマン派が失敗するパターンじゃないですか。しかも初対面。そんな人が薦める馬に、ホイホイと出資申し込みをするのかなと」
すいぞう「・・・・」
阿部「・・・・」
まつり崎「・・・・」
M姐「そんな風に思いました」


買えたかも委員会 第一話 完
元ネタ

2017年1月26日木曜日

生きていたパヴォーネ

 某まつ◯りさんとのLINEで「この世におれへんのやろなあ」と勝手に悼んでいたパヴォーネですが、生きていました。






 netkeibaの成績を見ると、約10ヶ月の休養を経て、昨年の11月に復帰。奇しくも私が四十路に足を踏み入れた日と近いです。妙な縁を感じます。

 そして、復帰戦こそ勝利を上げるも、次戦では圧倒的一番人気を裏切り馬券圏内を外したもよう。奇しくも四十年間期待を裏切り続けて生きてきた私に似ています。妙な縁を感じます。

 なぜ休養していたのかもよく分かりませんが、そういえば私もなぜブログを休んでいたのか、よく分かりません。パヴォーネに引っ張られて休んでいたのかもしれません。妙な縁を感じます。頑張れパヴォーネ、頑張れすいぞう。